「拓翔…もうそんな時間?」

「うん沙慧に会いたくて急いで帰ってきちゃった」


「そっか」


そういって軽く微笑むと
沙慧はまた
滝へと視線を移した


毎日何時間いるのだろうか
綺麗なさらさらの沙慧の
髪は水気でさらに黒さを
増し漆黒になっていた



しばらく沙慧を遠めで
見つめたあと僕は
いつもどおり無言で
沙慧の隣に座って
綺麗な黒髪を優しく
撫でてやった



いつもどおりの
変わらない時間




いつもと同じ風景



でも沙慧の心は僕の
知らないところで
変化していた