「セイ、夕飯作ってきたから一緒に食べよ」
美留久はいつものように聖夜の家の裏口からキッチンへと足を踏み入れた。
暗い居間に明かりを灯す。
薄暗い室内で、聖夜は一人座っていた。
それはいつもの風景だった。
聖夜は自分の存在を持て余し、身の置き所を探しあぐねていたのだ。
「樹おじさんは、まだ?」
「おじさんは今晩遅くなる」
「じゃ、おじさんの分はレンジに入れておくね」
「ありがとう」
「いいよぉ、お礼なんて。あたしがセイと一緒に食べたいだけだから」
美留久の問いかけに、その都度返事を返しはするが、その先を聖夜が紡ぐことはなかった。
美留久は食卓の上を片付け、自宅から持ってきた鍋から皿へと食事を取り分けた。