あの事故の真相を知ってから、聖夜の回復は目覚しかった。
「霧が晴れたような、そんな感じです」
ジャックを前に、彼は生きることに前向きだった。
「でも、僕にとっては必要なプロセスだったようにも思えるんです。
あの誤解が無かったら、僕は世の中を恨んで、もっと荒んだ人生を歩んでいたかもしれない。
美留久の助けも慰めも、受け入れることさえできなかったかもしれません。
まぁ、その方が美留久にとっては良かったかもしれませんが」
彼は冷静に自己を分析し、改善する努力を惜しまなかった。
全ては美留久に会う為。
美留久の前に立ちはだかる霧を、自ら晴らす、そんな決意が彼の背中を押していた。