ウシの店を出て拓也と分かれて、優也は久しぶりに近所を散歩した。

緑地保存エリアは、夏の貴重な涼しさを求めて、ウォーキングや犬の散歩をする人がのんびりした時間を満喫している。

優也は小川の横に据え付けられたベンチに腰掛けた。

僕は何をしてるんだろう


優也は、ふと思った。

忙しいばかり言って、お金を稼いでも遊ぶ時間もなく。
なんとなく、家業のために生きているような毎日。
彼女は、さらに忙しく、別に自分がいてもいなくてもたくましく生きてゆきそう。

これというわけではないが、疲れてしまって、彩花の部屋に行くのが楽しみだったけど、それさえも億劫。
27歳なのに所帯をもって、くたびれた男みたいだ。


僕は何をしてるんだろう


その問いは優也のなかで、こだまして全身をどぶ鼠色に染めるように思われた。
周りの人たちの会話や笑い声が眩しくて、自分だけが取り残されたみたいな気がした。

とにかく、週末の予定をメールしよう

優也は彩花にメールした。
 件名:お疲れさん
 あやちゃん、土曜日だ
 けど、10時ごろ行くの
 で大丈夫?

優也は自宅へ向かった。たぶん、返信は深夜か明日になるだろう。