「human PC なら雨に濡れちゃ駄目じゃん!どうしよう…」


しばらくオロオロとその場を見渡していたが


意を決したのかぐったりと倒れているその human PC を抱き抱えて後ろへ走り出した


「濡れちゃうな…」


聡志は自分の羽織っていた上着をそっとかけた


なるべくその human PC が濡れないようにまた出口へ向かってひたすら走り出す。





しばらく走ると今度はちゃんと出口まで来ることができた


目の前の道路を走る数少ない車の中で偶然にタクシーを見つけ乗り込んだ


「すみません、木幡まで」


「はいよ」


雨が激しく窓に打ち付ける中タクシーは聡志のアパートまで走っている


泥だらけのになっているのでhuman PCをタクシーのシートに座らせることもできず自分の膝の上で抱き抱えたままだった


雷の光がやんわりと車内を照らしている


(顔…泥だらけだなぁ…)


聡志はhuman PC の顔に付いた泥をそっと拭き取った


「彼女かい?寝てるみたいだけど…なんかあったの?」



「あ……これhuman PCです」


「ははは!嘘はやめなさい、こうみえても私は機械に詳しいんだ」


「いえ…あの…」


「私の娘も君ぐらいの歳でね…」


タクシーの運転手は話をそらし、自分の話を目的地に到着するまで話し続けた