春奈と別れ、廊下で外を眺めながら、一人でぼんやりと考えていた。

春奈は簡単に言うけど、どうしたらいいんだろう…。ほんとに、私は好かれているんだろうか。

久世玲人の言動だけを見ると、気に入られている、とは思う。だって、嫌いな相手に、いくらなんでも抱き締めたり、キスしたりなんてしないと思うから。


それに…。


『菜都は、俺の』

『他の男と2人になるな』

『俺のことだけ考えてろ』


今思い出すと、もの凄いことを言われている…。


独占欲が垣間見える言動が多々あるけど、でも、「好き」と言われたことは一度もない。

春奈や健司、泰造たちは何の根拠で確信してるのか知らないけど、久世玲人は私のことを好きだと言う。

本人から一度も言われたことがないのに、どうにも信用できない。浮かれて、喜べるはずもない。


そりゃ、数々の言動を思い出せば、いくら鈍感な私でも勘違いしそうになるけど…。

でも、やっぱり言葉にして聞かないと、確信できない。



―――久世玲人は、私のことを、どう思ってるんだろう。

仮の彼女にしては、ちょっといきすぎだ。


もしかしたら、愛玩動物的な立場なんだろうか。

都合のいいペット、みたいな?忠実な犬であれ、みたいな?

………そうだとしたら、ちょっとひどい。いや、かなり。


それか、色々と心配させたことがあったから、保護者的な立場なんだろうか。

送り迎えもしてくれるし。妹的な立場とか?

………いやいや!妹と思われてたら、あんなハレンチなことなんてしないでしょ!


昨日の光景がよみがえり、カーッと顔を赤くさせながら、ブンブンと首を振った。


じゃあ一体何っ!?

まったく答えが見つからず、頭を抱えたくなっていると、突然、うしろからポンと肩を掴まれた。