「もっと親身になってよー!どうすればいいのっ!?絶対ありえないって思ってたのに!」

「いいじゃない、好きになっちゃたなら。もう付き合ってるんだし、逆にラッキー、みたいな?」

「なにそれ!とりあえずで彼女にされたいつわりの関係だよ!?なんか、余計苦しいしっ。それに春奈も、本気で好きにならないようにって言ってたじゃない」

「そりゃ、最初はね。でも、あんたたち見てたら、もう本当の恋人だもん」

「それはっ…久世君がそう演じてるだけかもしれないしっ。それに、私の気持ちが知れたら、解消されるかもしれないし…」

「そうかしら。久世君も菜都のこと好きに見えるけど。そんなに悩むなら、いっそのこと告白してみたら?」

「そんなっ!そもそも、女よけのために彼女にされたのに、その私が告白って!」

「じゃあ、どうするの?このままの関係を続けるのは辛いんでしょ?別れを切り出す?」

「うぅっ…。分からない…」

「じゃあ、好きって、言ってみたら?うまくいくと思うけどなー。万が一、それで解消されたら、それまでだったってことよ。やっぱり、サイテーな奴だって」

「簡単に言うね…」

「だって、菜都がフラれるって思えないもの」



ううっ…。他人事だと思って…。


でも、春奈の言うことも、一理ある。好き、と伝えて久世玲人の反応を見る。

良くも悪くも、今の関係に変化が起こることは確か。



好きだと自覚してしまった今、この関係をどうにかしなければいけない。

でも、果たして、私にそんな行動力はあるのだろうか…。