いや、もしかしたら、不安で、こわかったのかもしれない。

久世玲人の行動に、キスに、意味があるのか、ないのか。真意を知るのが不安で、こわい。

なぜ、あんなことをしてくるのか。

キスをされて、迫られて、思い出すとめちゃくちゃ恥ずかしいけど、そこに嬉しさや喜びはない。不安や戸惑いが心を占めている。

好きだけれども。好きだからこそ。



そんな昨日の出来事を、洗いざらい春奈に話した。こんなこと相談するのは、恥ずかしいけれども。

―――久世玲人が好き、という自分の気持ちも、正直に話した。


「ふーん、そんなことがあったんだ」

「…………」

「え?何でそんなに不満そうな顔なの?」

「何でそんなに冷静なの!」

「そう?そりゃ、いきなり迫られたのは驚いたけど、……まぁ、久世君だし。それに、菜都が久世君を好きになってたの分かってたし。この前私言わなかったっけ?」

「そ、そうだけどっ!でも、その時は違ったしっ!」

「否定しきれなかったくせにー?」

「そ、そんなことっ…!」

「ていうか、今ごろ自覚したのー?とっくに気付いてると思ってたけど」


ニヤつく春奈に、「…もうっ!」とポカスカ肩を叩いた。