「キャッ…」

な、何っ!?今度は何っ!?

久世玲人の行動に、頭がついていかない。

ふにゃふにゃになっているせいで、まるで役立たずだ。


久世玲人は軽々と私を抱えながら、スタスタとどこかに向かっている。

いわゆる、お姫様抱っこで。


もう、恥ずかしさなんて通りこしている。落ちないようにギュッとしがみついた。


なんだろ…なんだろ…

混乱したままでいると、久世玲人は器用にドアを開けて別の部屋へと入った。


そこにあるのは、雑誌やゲームが乱雑に置かれている机に、2人くらい座れるソファ。開きっぱなしのクローゼット。そして、部屋を大きく占めているベッドが目に入った。

……久世玲人の、部屋?


そう思っていると、久世玲人は迷うことなくベッドへと足を進め、私をそっと降ろして再び押し倒した。


…………え?


「く、ぜ…くん…?」

まだ状況が掴めず、恐る恐る問い掛けるけど、久世玲人は何も答えないまま上からまたがり、ひざ立ちになって私を見下ろした。


「あ、あのっ…」

不安に揺れる私を安心させるように、久世玲人は優しく微笑みながら、そっと私の頬を包む。

チュッ、と唇に軽くキスを落とされた。


「菜都、―――初めてか?」

「……え…?」

「…じゃねえと、ブチ切れてるけど」


そう言って久世玲人は、私の制服のボタンを一つ、また一つと器用に外していった。