なんで…?

どうしてイヤじゃないんだろう。

分からない……分からない…。


久世玲人の唇が何度も首筋を這い、やっぱり、くすぐったい。

ピリッと小さな痛みが走り、キスマークを付けられたのが分かった。


どうしてだろう。

分からない。

分からない。

何で。


優しく触れてくるその手は、私を恐がらせないように、安心させてくれる。

「菜都…」

耳元で甘く囁かれ、胸がぎゅうっと締め付けられる。体がぞくぞくする。

されるがまま、何も返さない私を久世玲人が顔を上げて見つめてきた。涙で視界がぼんやりするけど、その瞳には熱が篭っているのが分かる。


分からない。

分からない…。



――――いや…違う。

分からないんじゃない。



――――もう、分かりきってる。


イヤじゃない理由。

もう、私は分かっている。


これは、きっと。


きっと……。


私は、久世玲人が――――好き、なんだ。