「あの時あったこと喋ってみろ。また菜都を巻き込むだろ」

「……私を、巻き込む?どういうこと?」

「だから、菜都も関係してたって分かったら、どんな風当たりがあるか分かんねえだろ」

「………え?」

久世玲人の言葉の意味を、頭の中で必死に考えた。


その言葉を整理すると…、

それって…、もしかして…



「私を、かばったってこと…?」

恐る恐るといった感じで問うと、久世玲人は苦笑して言った。


「そんな格好いいもんじゃねえよ。俺のため」

「何で…」

「停学なんかより、菜都に何かある方が俺にとっては一大事なことだから」


それじゃあ…、久世玲人は私をかばうために、本当のこと言わなかったってこと…?

なんで、そんなこと…。




「なんで…なんで…っ…」

引っ込んでいた涙が、再びじわじわと溢れ始める。


「待てっ!泣くなっ!」

「何で、そんなことっ…」

「だから!全部俺のためだって言ったろ!菜都が気にすることじゃない」


また唐突に泣き始めた私に久世玲人は困っているけど、私も抑えることができない。

ちゃんと、聞きたい。


「……どうしてっ…?」


涙目で見つめると、久世玲人はそんな私を見ていられないのか、顔を胸に押さえつけるかのようにギュッと抱き締め直した。