そしてさらに、久世玲人がいないことで、思わぬ余波があった。

久世玲人の彼女になって、新たな友達作りに失敗した私。

いつもなら挨拶程度しか話し掛けてこないクラスメイトが、久世玲人がいない隙を狙って、ここぞとばかりに話し掛けてくるようになった。


お昼休憩の教室。今も私は囲まれている。


「ねえねえ!久世君って普段どんな感じ!?」

「彼女にはやっぱり優しいの!?どんな会話するの!?」

大半が興味本位だけど、普段、久世玲人とばかり一緒にいるからある意味新鮮だ。こうして女の子に囲まれるのは久しぶり。

ただ、会話の内容はほぼ久世玲人のことばかりなので、ちょっと困ってしまう…。


「えー…と、怒らせると恐いけど、……普段は優しいよ。会話も、フ、フツーだし…」

「キャー!いいなぁ~!原田さん羨ましいー!!」

……ど、どこが…。


ピクピクと頬を引きつらせながら愛想笑いを返した。

できることなら、変わって欲しいんですけど…。


そんなことを思いながら彼女たちの会話に返していると、その中の1人が、遠慮がちに話し掛けてきた。


「……原田さん、心配じゃない?久世君…停学になって…」

「あぁ…ま、まぁ…」


でも、自業自得だし。

停学の理由を知っている今、それほど心配していない。だって、本人があの調子だし。

いい機会だし、ちゃんと反省してほしいものだ。