「よかったな、なっちゃん。大切にされてて」

「なっ…!!大切にされてるって言えるのっ!?」

「言えるさ。例えば、お前を傷つけようとする奴がいたら、玲人は徹底的に潰しにかかるだろうな」

「潰すって…」

「ほら、健司から聞いたけど、お前を襲おうとした奴がいたんだろ?そいつらも玲人の指示で健司たちが片付けたし」


潰すとか、片付けたって…。そんな軽く言えることなんだろうか…。

聞きながら、ピクピクと頬が引きつる。


「それに、この前も見たけど、いつも玲人の周りうろついてた派手な女。えーと…名前忘れた」

「もしや、サエコ…?」

「そうそう。ギャーギャーうるせえ女。あいつにもキツイこと言ってたし」

「え…。な、なんて言ってたの…?」

久世玲人からは適当にはぐらかされたけど、泰造もその場にいたんだ…。


「二度と、俺と菜都に近づくなって。例え女でも、菜都を傷つけたらただじゃおかねえ。ぶっ殺してやるって」

「ぶっ殺す…!?」

「それはそれは、横で聞いてた俺も寒気が走るほど、恐ろしかった」


その時の光景を思い出したのか、泰造が苦笑いでこちらを見る。


「泣きながらあの女も食い下がってたけど、玲人、きっぱり切り捨てたし」

「切り捨てた…?」

「菜都しかいらないって」

「私、しか…?」

「そ。他の女はいらない。俺は、菜都しか欲しくないってさ」

「………」

再び、顔中に熱が集まるのを感じた。心臓がドクドクと騒ぎ出す。


泰造から聞いただけでも、こんな状態になるのに、本人からその言葉を聞いてしまったら、私の心臓は一体どうなってしまうんだろうか…。