な、何で抱き締められてるの…っ!?ていうか、ここ最近、こういう状況多くないっ!?

顔が熱いっ!!きっと、真っ赤になってるっ!!

どうにかしようと腕の中で身を捩るけど、久世玲人は離しくれない。それどころか、私の首筋に顔を埋めてくる。


「ちょっ…久世君っ!?」

「よかった…」

「な、何がっ!?」

「マジで心配した…。また何かあったんじゃねえかと思って」

「えっ!?……あ」



もしかして……。

怒ってたんじゃなくて、……私のこと、心配してくれてたの…?


「あ、あの…久世君…?」

「相変わらず電話出ねえし、どこ行ってもいねえし、誰も知らねえって言うし」

「ごめんなさい…。また、心配かけて…」


昨日のことがあったばかりだ。久世玲人が私の身を心配したのはおかしなことじゃないかもしれない。

素直に謝罪すると、久世玲人は少し体を離しながら私の顔をのぞき込んだ。

心なしか、その表情はとても余裕がないように見える。


「どこで何してたんだ?」

「いや、あの…。ちょっと、呼ばれてて…」

まさか正直に「告白されてました」と言えるはずもなく、適当に誤魔化そうとしたけど…。


「誰に?」

「えっ!?せ、先生…に」

鋭く聞いてくる久世玲人に、ドキッと心臓が跳ねた。

思わずウソをついてしまったけど、キョロキョロと目を泳がせて答える私を、久世玲人はジト目で見てくる。


「……怪しいけど、まぁいい。菜都が無事なら」


そう言って、再び私をギュッと抱き締める。



また、違う意味でドッキーンと心臓が跳ねた。