そして、急いで階段を駆け上がり、息切れしながらも無事屋上に辿り着いた。


「ごめん久世君っ!!」

重い扉を勢いよく開きながら、ここで待っているであろう久世玲人の姿を探した。


「久世君っ…」

目的の人物は探すまでもなく、屋上を囲うフェンスに背を預けて座っていた。私が来たことに気付いたようで、ゆっくりと顔をこちらに向けた。


やっぱり、怒ってるのかな…。


妙に張り詰めたこの空気が緊張感を高ぶらせていると、久世玲人は何も言わないまま立ち上がり、鋭い目で私を見据える。


「ご、ごめんってば…」

その威圧感にビクビクしながら謝った。どんなお叱りが飛んでくるのだろうかと、恐ろしくていまだ入り口付近から動けないでいる。


ツカツカとこちらに向かって来る久世玲人に、ギュッと目を瞑って身構えた。

大人しく怒られるしかない…!!


そう決心してお叱りの言葉を待っているけど、待ち構えている言葉は一向に聞こえてこず、………代わりに、グイッと引き寄せられ久世玲人の腕が私の背に回った。



………え?

と思った時にはもう遅く、そのままギュッと抱き締められた。


閉じていた瞳をパッ!と開けると、目の前には制服のシャツ。


「え?え?あの、久世君っ!?」


予想外してなかった行動に驚きの声を上げると、久世玲人はさらに強く力を込めて抱き締めてきた。