「く……シェラ…
必ず君を迎えに行くよ」
そう言ってグレイは
闇に姿を消した
「行かないわよ…」
シェラはグレイが
消えた闇へ呟いた
「あいつなんなんだよ」
ロードはわけわからない
という顔をしていた
「あいつは敵よ」
そう言ってシェラは
先程の出来事を話した
.
「テレサ………」
ロードは悔しそうに呟いた
ズキン…
シェラは胸を押さえる
なんでだろう…
寂しい気持ちになるのは
あぁ…どこかで
ロードならあたしを
見ていてくれるって
勘違いしてた
あたしはいつだって
一人だから…
.
「大丈夫…
テレサのために此処にいる
あたしは最後まで
この国と戦う」
あたしの進む道
それは何があろうと
変わる事の無い道
「俺も同じだ」
そう言ってロードは
優しく笑った
.
グレイがいなくなってから
3ヶ月が経った
あの出来事を
全員に伝えた
グレイが敵である事
ニーナが1番悲しげ
に見えた
.
【全兵につぐ
約16分程で南ルーダ王国
が支配地に侵入します
各隊、VOICEトランサーは戦闘準備をせよ】
それは突然だった
これは試練なの?
神様はあたしに
どうしてほしいの?
わからない…
そう……
運命の歯車が動き出す
.
「シェラ」
あたしは聞き覚えのある
声に振り返る
「ロード…」
そこにはロードが
立っていた
「じゃあ私は先に
行きますね!」
一緒にいたニーナが
笑顔で先に行った
「どうしたの?」
普段あんまり
話しかけないくせに
.
「なんでもねぇよ
本気で歌えよ?
じゃねーとシバく」
ロードは口の端を
吊り上げて笑う
悪戯な笑顔に
どきっとした
「あ、あんたね
あたしを誰だと
思ってるのよ
天空の歌姫
シェラ・フロエバンスよ!」
.
「あぁ…わかってるよ」
そう言ってあたしの
頭を撫でて歩いて行った
「なに……よ……」
あたしは撫でられた
頭を触る
馬鹿……
あたしは今顔が
真っ赤なんだろうな
これは……
恋なの…?
でもそうだとしたら
辛いだけだもの
ロードは…
テレサが好きなんだから…
.
気付いた気持ちは
見ないふり
忘れてしまおう
傷付く前に
「あたしはテレサのために
戦うんだ」
シェラは涙を拭き取る
全てをかけて
テレサの意志を継ぐために
.