♪〜♪〜♪〜


誰のせいでもないの
きっとこの世界のせい


続く長い過ちが
傷を深くした


灯を失った私達に今
何が残る?
何が出来る?


分からない誰か教えてよ


空がいつもより
暗いのは何故?

それはあなたが
泣いてるから

そうあなたが空だから
あたしは寂しくないんだ

例え触れる事が出来なくても
あなたの為に強くなる

もう迷わず涙を拭いて


形は無くても
あなたは
心の中に生きてる




♪〜♪〜♪〜






「シェラ………
あり…がとな……」




ロードは泣き止んでいた

紅い瞳からはもう
迷いはない



希望に満ちている






.
「馬鹿」

御礼を言ったら
馬鹿呼ばわりされた


「お前……犯すぞ」


俺はシェラと
向きを逆転させた



俺が上でシェラが下



シェラはまったく
動じていない



「犯す?叫ぶわよ
泣き喚くわよ
側近首になるわよ」





シェラはべらべらと
早口で喋った







「おい…目が死んでんぞ」

やべー…
こいつやりかねない







.
「あたしはもともと
こーゆう目なのよ
どきなさい」



シェラはロードの
胸を叩く




「へいへい」


ロードはシェラを
立ち上がらせる





二人はしばらく
フレアの花を見つめた





花はそよそよ揺れる




まるで二人を
優しく包むように








「シェラ今日は
ゆっくり休むとよい」



「ありがとうございます
国王陛下」




あたしは久々の休みを
国王陛下からもらった





最近は忙しかったから
町に遊びに行こう






「陛下、町へ下りても
よろしいでしょうか?」



新しい曲作りのためにも
あ、服ももっと
バリエーションを
増やしたいし


「構わないが
護衛をつかせよう
そうだな…ディズと
ロード、お前達がいれば
平気だろう」




国王は髭をいじりながら
ロードとディズを見る





「「御意」」








そして今に至る



「ちょっと二人共
早くしてよ
次はあそこよ!!」



ロードとシェラは
シェラに振り回されて
いる






「まだ回るのかよ…」

ロードは腰を押さえる


「シェラちゃ〜ん…
疲れた」

ディズは半泣き状態だ






「泣き言言わない
早くしなさい」




シェラはどんどん
進んでいく






気付くとそこは
町の中にある
小さな村だった









「シェラお姉ちゃん!」

女の子がシェラに
抱き着いた


女の子の声に
ぞろぞろと子供が集まる



「アノン!みんなも…」



シェラはみんなを
抱きしめた




「久しぶりだね
こんなところで
会うなんて」




ロードとディズは
驚いた顔てシェラを見る





「町の子供たち
前偶然知り合ったの」




あれは服買いに
行った時かな?





「お姉ちゃん歌歌って!」



みんなも歌ってと
声をあげる








「もちろん!!!」


あたしはマイクを
左手に持ち下に下げる
右手は上に掲げる


空気がざわつく
みんながあたしを見ている


「あれシェラ・フロエバンス
じゃない!?」

「キャ〜っ本物!?」

「嘘たろ!?
握手してくれ〜」



シェラにたくさんの
人が群がる



「ものすごい人気だな」

ロードはシェラの姿を
遠目に見つめる



「あぁっ!
何たってシェラは
この国を救う姫だからな!
俺達の戦いもシェラの歌
も町でスクリーンを
通して中継されてるからな」

ディズもなんだか
楽しそうなのは
気のせいか?


「お前楽しそうだな?」


「当たり前だろ!
俺もファンの一人だ!!」


ディズも人込みの
中に紛れた








シェラはマイクに
内臓されている
音楽システムを起動させる


前奏が流れ出す
あたしはそれに合わせて
リズムを刻む


服が白い霧とともに
黒の革素材の
ダークドレス

短いスカートに
黒のレース

靴は銀のサンダル
に変化する




そんなシェラにまた
歓声があがる








♪〜♪〜♪〜


先の見えない道が続く
本当のアタシは何処にいる?

長い闇の螺旋を
孤独でたださ迷う

交じり合う幾つもの道を
ただ真っすぐに走って来た

立ち止まり問い掛ける
後悔はもうないの?


記憶で交差する
飛び交うアナタの声


分からない痛む
古傷押さえ

血が滲む
あの日の悪夢を
振り払う


差し込む光り
手をのばした


その手をそう
掴んだ誰かを
知っている

例え思い出せずとも
感覚を信じる





♪〜♪〜♪〜




いつの間にか
シェラの歌に
飲み込まれている



これがシェラ・フロエバンス

「やはり対抗できるのは
四大歌姫だけって
ことかよ……」



「僕らだけでは
駄目なんだ…」





この声の主が
誰なのか……





それを知るのは
そう遠くない…