「な...ななななななな...なによ...」
目の前には猫男。
私に覆い被ってる形だ
一体いつの間に起きてたのか...
っというか...目つき、悪っ
「お前、俺の顔いじってただろ」
「はぇ?あっ、えーと...。あの、顔じゃなくて鼻、なんですけど...」
何かドキドキうるさい。
この顔め、卑怯だぞ。
しばらく黙っている猫男
何か恥かしいから、目をそらす。
「フッ...フ八ッ....」
そんな変な声が上から聞こえてきた。
チラッとそっちを見ると、
――猫男が、笑ってる。
.....
猫男が笑ったとこ、初めて見たかも.....
「お前見てると、飽きない.....」
真上からの言葉。
小さかったけど、全部聞こえた。
「俺、ヒーローみたいじゃない?」
「ひーろー?」
.....
.........。聞いたところで沈黙が走る。
ったく、こいつ...何考えてるのか全く分からん...。
「っと言うか、昨日もこんな事ありましたよね...」
「まぁな」
まぁなって...
退きなさいよっ!!
「えっと、離してくれませんか?」
"うーん"しばらく悩んでいるような猫男。
「何かさぁ、前から思ってたけど.....
...お前、小さいな」
「...は?」
いつの間に話が変わったの?
さらに猫男が分からなくなった。
以外に.....天然?
「いや、あの、小さい事は分かってるんですけども。私は"離して"って言ってるんです」
「身長何センチ?」
.....
.......。私の話は完璧無視かいっ!!
「150です.....
って、いい加減退けやこのボケナスがっ!」
思いっきり足と手で猫男を押した。
でも全く効かない
「それ、攻撃のつもり?」
「うぎゃっ!」
体が軽くなったと思ったら、
猫男、ドアーーップ!
鼻に猫男の息が当たる。
「いやいやいやいや.....これはいかんでしょ」
さすがに焦る。
キスはまだ...じゃなくて、昨日加賀くんとしちゃったんだ.....。
カーッと顔が熱くなる。
「お前.....、
―――今日から俺のペットな」
ニヤッと猫男が笑う。
「...いや、あんたがペットだよ...」
小さな声で。
ほんとに小さな声で言った
なのに.....
「あぁ?」
聞かれてるー!!!
私の声がデカイのではなくって、猫男の耳が良すぎるのね...。
野生の遺伝子?
.....って、こんな事考えてる場合じゃない!!
目の前に、いや、目と鼻の先?に居る猫男に対して、
「いえ。何にもございません」
私にとって今は、この言葉が精一杯だった―――――
シーン――
静かな空気が流れる。
―――だ、誰かー!!この状況、何とかしてくださいーーー!!!
その時...
ピロピロピロ~~♪
救い...いや、神が現れた。
昨日もこんな事あった気がする....
「ッチッ...」
猫男、怖っ...
「あ、あの...電話なんで、どいて下さいね」
「ったく...こんな時に誰だよ...」
そう言いながらも、
「よっこらしょ」
ってちゃんとどいてくれた。
「"よっこらしょ"って...おじちゃんだね」
「その言葉、もう一度言ったら犯すぞ」
「はい。申し訳ございません、もう言いません」
本当に飼い主とペットだわ.....
私が呆れているその間も、携帯は鳴り続ける。
「はいはいはーい」
加賀くんかなーと思い玄関の方へ。
「もしもし?」
そういうと猫男がついてきた。
『あ、菅さんですか?』
私の携帯にかけてきたくせに名前を確認する加賀くんはなんか可愛い。
『事故に遭ってしまった生徒のお見舞い一緒に行きませんか?』
猫男が私の前に立った。
″誰?″口でそう言っているのが分かる。
誰でもいいじゃない、そう思って猫男を無視。
そしてまた加賀くんに話かかける
「あ、本当?一緒に行ってもいい?
ついでに車も運転してくれると嬉しいんだけど」
『あ、はい!もちろんそのつもりです』
猫男はまたあのムスーっとした顔で上から睨んでくる。
そして...
―――――ドンッ
私を後ろの壁に押し付けた。
「ななななななな、な....に...?」
ちょ、怖いよ、さすがに
『俺のことシカトしてんじゃねえよ』
猫男が私の髪を弄ぶ。
――『菅さん?誰かそこにいるんですか?』
―――「え、あ、う、ううううん、いないよ」
――『そうですか、では夕方そちらに伺いますね!』
――「じゃあ頼むわね」
そう言うと電話を切った。
猫男はまだ私の髪を触っている。
「ねえ、そんなに髪の毛が好きなの?
猫だから?」