目をパチパチさせてフリーズするオカンを置いて、さっさと玄関に行こうとしたら、階段を降りたとこにオヤヂがいた。


「おはようさん。
何や、早いな。
それでか?
オカンの悲鳴の理由」


「みたい。
オトン…夕べは…有難う…。」


それだけ言って玄関で靴を履く。




「陸。」


靴の紐を結びながら「何?」と返事をした。



「絶対諦めたくない女やったら…絶対に諦めるんやないで?」


背中越しに響いた
オトンのセリフが、俺の胸の中に、ズシンと響いた。


「オウッ!」



玄関のドアを開けた時、前向いて高らかにかざしたVサイン。




パタン…。