「また見てるの?」
親友の結衣が呆れた表情を浮かべながら、私が見つめている先に視線を向けた。
2階の教室から校庭の中庭が見える。
休み時間、中庭にいつもサッカーをしている人達の中に私の好きな人の姿があった。
休み時間になると私はいつも上から彼の姿を目で追った。

彼を初めて見たのは高校の入学式の翌日だった。
私の席は窓際の後ろから三番目で、下の中庭から聞こえてくる声にふと目を向けると、そこに仲間たちと子供のように笑う彼の姿があった。
太陽に照らされて栗色に光る髪の毛に、170㌢はある背丈。
なぜか彼が気になってずっと見ていると、彼は私の方を向いて笑ったいた。
私は恥ずかしくなって下を向いてしまった。

あ…この人が好き。
本当に突然だった。
それまで恋なんてしたことなかった私に、当たり前のようにやってきた恋だった。