その日は、店長は仕入に出かけて直帰。

私と野上さんだけになった。



「腹減らない?」

閉店後、店内を掃除している時だった。

野上さんは、レジのお金を集計しながら言った。

「かなりペコペコですよ〜」

「飯食いに行く?」

平静を装って答える。




「はい。」




私服に着替える時、ドキドキが止まらなかった。

髪型をチェックして、

普段あまりしない化粧直しもした。



ロッカールームから出る前、

ドアノブを持って、深い深呼吸をする。



ス〜〜

ハ〜〜



嬉しさのあまり、テンションが上がる私。


「平常心、平常心…」


そう自分に言い聞かせてドアを開けた。