待ち合わせ場所に向かう電車の中。

鞄から昨日買った口紅を手にとる。

基本、口紅をしない私。

鏡を取り出し、口紅を唇に置く。

彼女から買った口紅。

涼さんに言えば、どう思うんだろう。

ビックリしてくれる?

ビックリを通り越して、怖くなって私から逃げる?




「何やってんだろ…私。」



ピンクベージュに輝く唇を見ながら、

虚しい気持ちになった。





ねぇ、涼さん?

私、彼女に近づけた?