その角を曲がればTree Timeという場所で、

涼さんの声が聞こえた。




「じゃ、店長すみません。」

私は慌てて隠れる。



「なんか悪かったね。急に来ちゃったから。」

「いいよ。早めに上がれたし。飯行こうか。」

「うん!」



胸ぐらいあるロングの髪が揺れる。

小柄で、化粧はバッチリ決まっていて、

なのに、何故か品の良さを感じる。



いつもの様に、胸ポケットからタバコを取り出す涼さん。

彼女は、涼さんの後をついて歩き、

涼さんは振り返りもせず、前を向いて歩いている。

ちゃんと彼女はついて来ていると、安心している感じ。

普段から、そんな風なんだろうと想像できる雰囲気だった。





私、来なきゃ良かった…





隠れている自分が恥ずかしい…



どこかで、彼女と倦怠期であって欲しいと願っていた私の気持ちは、




はかなく散った。




さっきまでブレーキが効かなかったのに。。