鍋がぐつぐつと温まってきた。


台所から、新くんに向かって叫ぶ。



「鍋だから、その新聞テーブルに敷いて!」


んー。
と、短くそっけない返事が帰ってきたのを確認し鍋をコンロから持ち上げる。


台所から出たあたしとすれ違うように新くんは台所には行っていった。



新聞の上に鍋をゆっくり置いていると、二人分の器と箸を持って帰ってきた。



新くんっていい旦那になりそうだよね。

美佳とは兄弟だから結婚することは出来ないないだろうけど……。



いただきます。といい、静かに食事を始める。



篤と美佳がいないと、赤井家はビックリするほど静かだ。



元気がとりえのあの2人が静かだと逆に心配になる。



「肉、入ってないやん。篤か・・・」

新くんが呆れたようにつぶやく。



実は新くんもお肉大好きだったりする。

こういう所とか、ああ兄弟なんだなぁ、と実感。



顔も、2人ともお母さん似らしく顔の形がそっくりだ。

今の篤はあたし達が高校生の時に担任だった新くんに瓜二つだったりする。