台所に行くと、コンロに乗った大きななべと

「仕事お疲れ様。先に寝ます。なべは温めて食べてね。おやすみ! 美佳」

書いてある置手紙があった。



「こんな所に置いて気付かなかったらどうすんのよ・・・」


なんてむなしい独り言をつぶやきながらなべに火をかける。

中をのぞくと、肉という肉がまったくなかった。


こんなことをするのは、あたしの彼氏「赤井篤」しかいない・・・
あんにゃろーと思いながらも顔がほころぶ。

これだけ食べるのなら体調はよさそうだな、と自然に考えてしまう。


ふと、リビングを見るとテレビをつけて新聞を広げている新くんが・・・

やってることがおじさんにしか見えない・・・


7歳差って今思うとおっきいって思う。


美佳には些細なことなんだろうけど。


美佳と新くんの間にはもっとおおきい問題が山積みだったから。



それを乗り越えてきたあの二人はきっとどんなことでも乗り越えられるはず。


お互いが一番大切で、いないと困る存在だって知ってるから。


今までに嫌ってほど味わってきたんだと思う。




あの二人には幸せになってほしいなってつくづく思う。