「雛瑞、放課後理科準備室に来い。 昨日の放送、無視したしな? 理由などはその時聞く」


朝のHR、しかもみんなの前でそんなことを言われた。


あたしはそれなりに優等生で通っているからみんなの視線が痛いのなんのって…。


しかも今度はみんなの前で呼び出しですか。


まぁ…話そうと思ってたからタイミングはちょうどいいや。




何かがある時は必ずといってもいいほど時間が経つのが早い。


だってもう放課後だよ?


なんてことを考えているうちに理科準備室前に到着。




ノックをしようとした瞬間…


ゴンッ


鈍い音が辺りに響いた。


ここのドアは廊下側から手前に引くタイプ。


なのであたしの頭に当たったのは紛れもなく理科準備室のドア。


「いっ………たぁ…」


聞こえるか聞こえないかぐらいの声。


痛みで声を出すことさえ難しいほどだ。


視界が涙でぼやけた時、急に頭がクラクラしだして…あたしは意識を手放した。


意識を手放す前に聞こえた声は…愛しいヒトがあたしの名を呼ぶ声だった………。