「矢那賀弘です。よろしく」

たしか、そんなことを言われたと思う。

微笑みながら言う姿は、とてもさわやかで、今まで見てきた同級生が色あせてみえるくらいだった。

「はっはじめまして。私は山辺みきです。よろしくね」

丁寧な自己紹介をされ、私もそれに値するような自己紹介をしようとして、かんでしまったことを覚えている。

そんな私を見て、矢那賀君はふっと笑った。

私は、その笑顔を見てどこか安心感を覚えた。
懐かしくて、くすぐったかった笑顔。