トイレから出て来たリーバが、｢僕、メルお姉ちゃんが帰って来てくれて嬉しいよ｣
ニッコリと何の曇りも無い純粋な笑顔に、私は胸がズキンと痛む。


…こんなに、私の帰りを心待ちにしていた弟達の前で、真琴のことを想っていた自分が愚かだと気付かされた。

｢うん、ありがとう…｣

｢メルお姉ちゃん、おやすみ｣
リーバは、自分の部屋へと戻って行った。

｢そろそろ私も眠るわ…おやすみ｣


｢おやすみ…メル｣
私も、自分の部屋へと向かって行った…。


｢メル、ごめんな……｣
ポツリと父は呟いていた。
そして、そっと父の背中に母は触れたのだった…。


｢…此処に帰ると選択をしたのは、メルちゃんよ…。辛いけど私達には、どうすることも出来ないわ｣

複雑な表情で、父と母は…お互いの顔を見つめ合っていた。


ーこれが、本人の幸せなのだろうか…とー