あの時のことを思い出して
少し気恥ずかしくなりながら
校舎の横を通り過ぎようとした時、
微かに音が聞こえた。

慌てて自転車を止めて
周りを見渡す。
心臓が早鐘を打つ。

息を殺して耳を澄ませる。

周りに民家はなく
人も車も通っていない為、
辺りはしんと静まり返っている。


虫の声ではない、何か別の音が
聞こえた気がしたのだが、
今聞こえるのは虫の声だけだ。


気のせい、かな…?


恐怖感に耐え兼ねて、再び自転車を
漕ぎ出そうとした瞬間、
今度ははっきりと聞こえた。