「お疲れ様でしたー」 午後10時。 戸締まりの点検をして店を出る。 いつの間にか雨は上がっていたらしく、 雲間から月が顔を出していた。 自転車置き場に行き、 貰ったパンをカゴに突っ込み 鍵を解除して自転車に跨がる。 音楽を聞きながら帰ろうと思い、 鞄の中を覗き込んで気付いた。 何も入ってない…。 よくよく思い出してみると そこら辺にあった鞄を手に取り、 中に何も入れずに来てしまった。