ヒールのカツカツという音が 私の目の前で止み、代わりに 荒い息遣いが聞こえてくる。 彼女は息を整えながら 私の横に倒れ込むように腰を下ろし、 苦しそうに口を開く。 「遅れて…ごめん…ね」 息が整っていないのに喋るから、 謝罪の言葉が途切れ途切れに紡がれる。 「授業が…少し、長引いちゃって」 相変わらず苦しそうに 肩で息をしている。 どんだけ走ったんだよ。