もう食べてしまおうか、と 弁当箱の蓋に手を掛けた時、 こちらに向かって来る足音が 聞こえ、顔を上げる。 噴水の向こう側から 長い綺麗な黒髪を靡かせ、 長い手足を動かしながら 彼女はやって来た。 私が待ち望んでいた友人、 野田優(のだゆう)だ。