「柚梨がそれでいいのなら
あたしはもう何も言わん。
だけどね、このままじゃ柚梨は
ただの都合の良い女だよ?
あんな奴のことは忘れて、
いい加減前に進もうよ」



――優、あたしだって前に進みたいんだよ。


コップについた水滴がテーブルに落ちて、
小さな水溜まりを作っていくのを
見ながら心の中で思う。


「柚梨」

真剣な口調で名前を呼ばれて、
ゆっくりと顔を上げて視線を合わせる。


「あたしは、もう前に進む。
まだ少し不安もあるけど、
この1ヶ月半一緒に過ごしてきて
こいつなら大丈夫って思った。
あたしは自分を信じるよ。
――今日、のぶに告白する」


優の目は凜と澄んでいて
力強く輝いていた。