優は私が話し出すのを待っている。

こうなったら頑固な優のことだ。

私が話すまで黙っているつもりだろう。


顔を窓の方に向けたまま口を開く。

「優の言う通り、
あいつから電話が掛かってきた。
彼女と喧嘩したんだって。
別れたくないって言ってた。
あとは軽い世間話だよ」

他人事のように淡々と述べる。


「…何それ。信じらんない。
柚梨にそんな話するなんて
あいつは何考えてんの」

「さあね」