それは一瞬のこと。 あたしだって信じられない。 鳴り響く携帯の音楽とともに、何かがシグレの手を跳ね退けた。 何? 電気みたいな音がして。 でっかい静電気が起こったみたいに、何かがシグレの掌をバチリと跳ね返した。 その瞬間。 蜘蛛の糸から解放されたように体は自由に動くようになって 「き…!」 咄嗟に零れた何だかわけがわからない悲鳴とともに、何だかわけがわからないまま、あたしは走り出した。