高校2年、夏。笹原アミ。
 今は嫌いな数学の授業中。窓の外を見ると葉の雫がこぼれ落ちるのが見えた。
 …チャイムが鳴った。
 「アミーっ!一緒にお昼食べよっ!」
 親友のカナとアリサだ。カナはかわいくてクラスのアイドル。アリサは派手で、まあ、いわゆるヤンキーだ。
 私達は入学式で席が近かったことで仲良くなった。見た目も中身も違うところばかりだけど二人とも大切な『親友』だ。
 「そういえば、アリサは彼氏とどうなったの?」
 可愛らしくカナが訊く。
 「あぁ…。丁度他のヤツに告られたからそっちにした。」
 「そっか。でももったいないよ!結構カッコ良かったのに。アミもそう思うでしょ?」
 「あ、うん。そだね!」
 「だよねーっ!!やっぱそうだよ!」
 「もう。だって、アイツはぁ…。」
 はっきり言って面倒くさい。友達は大切だけど、恋愛とか男子のこととか、あの事があってから私は臆病になっているのかもしれない。恋をすればそれだけ大きな悲しみと代償がある。
 …そんなのもう耐えられない。
 「おい。アミどうした??教室戻るぞ?」