未だに覚えている。 死後一週間がたった夏の暑い日。 私は仏壇の前に座る母を横目に庭で洗濯物を干していた。 ジリジリと照りつく太陽がとても眩しい。 干し終わり居間へ振り返ると、母は私をじっと見ている。 何だろう。 まるで可哀相なものでも見るような目。 暑いのに、背筋にひんやりと寒気がした。 母は大きなため息をついた。 「何で千里がいるの?」 そう無言で言われた様な気がした。 蝉の鳴き声が耳に響く。