チラチラと視線を感じるのは気のせいじゃないと思うけど。
「あんた知ってる?」
「普通にしらねーよ。」
「てか、あいつ誰…??」
様々な方から声が飛び交っている。
本人までバッチリ聞こえてる。
悪気はないんだろうけど、気まずいな。
ふっと顔をあげると門の前では、完璧にスーツを着こなしている拓真が見えた。
拓真がぼくに気づいて、近づいてきた。
「待ってた。」
ぶっきらぼうな言葉だが、小さく微笑む顔は優しさに溢れている。
「おはようございます。
理事長さん。」
ぼくの言葉に、眉をよせ
「ついてこい。」
と言って歩き出した。
ぼくの歩幅に合わせて。