「それじゃ、ぼく寝る。
拓真が帰るときにでも起こして。」

ごろりと向きを変えて寝る。

「そんなとこで寝んなよ。」

はぁ、とため息をつく。

今日で何回溜め息をついたことか…。


しばらくすると、規則正しい寝息が聞こえてきた。


スーツを脱いで、掛けてやる。

寝顔は無邪気で、まだ幼さが抜けない顔を見つめる。




「……また会えて、俺はこんなに嬉しくて仕方がないなんて、お前は知らないだろうな。
ごめん。ごめんなっ。
もう、二度とお前から目を反らしたりしないから。」



広いこの部屋で一人、ほほを伝うなにかを、彼は止めることが出来なかった。