「おい、なに座ってる?」

ゆっくりと空から目を離し、その人物をとらえる。

真っ黒の黒髪と銀の眼鏡のフレームは知的なイメージで、すらりと背の高い彼はグレーの高そうなスーツを着ている。



「…理事長さん?」


はぁ、と呆れたように、はかれた溜め息をついて

「なぜ来ないんだ?
探したぞ。」

と、苛立ちめに言われた。


「理事長室がなくて。
ぼくは少し探すのを止めて休憩してた所だったんですよ。」

微笑みながら答える。


またもや、はぁ、とため息をつくのを、細く微笑みながら、立ち上がる。


「理事長さんに会えて良かった。
これで、やっと行ける。」

「ったく、本当に変わらないな。

いつも思うが、マイペース過ぎるのはどうかと思うぞ。

被害をもろに受けるこっちにしてみろ。

しかも、理事長さんって嫌味か?てめぇは。」

嫌味を言っているのだが、その柔らかい微笑みと頭をくしゃっと撫でる手は、言葉とは裏腹にひどく優しい。


「久しぶりだね。
拓真。」