―――早良side―――
「なんで…、この前止めたんですか?」
さっき倒れて病院に運ばれてきた椎名。
精神的疲労のため検査入院となった。
椎名が目を覚ました事だし学校に戻ろうと思って病室のドアに手をかけたら、ゆっくりと椎名は話した。
きっと、ホテル街での話だろう。
何故かって聞かれればそれは、大切な身体を汚したくないからという理由もある。
だけど、それはちょっと違う気がした。
「椎名は昔の俺にそっくりだからだ。俺と同じように生きて欲しくない。そう思うだけだ。」
「昔の早良に似てる…?」
「あぁ。その何かを求めるような瞳(メ)がな。」
そう言うと、椎名は肩をピクっと動かし動揺して見せた。
毎日のように知らない男に抱かれる椎名。それは世間から見たら淫乱と思われる行為である。
だけど、椎名は淫乱ではない。
知らない男だけども何かを求めている。
その男(ヒト)に縋りつく思いでいるようなそんな感じだろうと思った。
それは、椎名が昔の俺に似ているからである───。