「3分……3分……」


その頃、寒夜はスーパーの前でウロウロしていた。
“陰”はまだ出てこない。


「…場所、間違えた…?でもここだって言われたし……」

「“陰”だ!“陰”が出たぞ!」


横目でその男を見た後、寒夜は腰の刀を抜いた。

蛇足かもしれないが、“殺し屋”は“陰”の探査能力を持っている。
だが、寒夜は使えない。

寒夜は軽く跳躍し、スーパーの屋根に上った。

そこには大きな化け物がいた。
否、あった。

“陰”はゆっくり振り向いた。

「……オマエハ“殺し屋”カ?」


聞き取りにくい、くぐもった声で“陰”が言った。


「あぁ、“殺し屋”だ」

「……ソウカ!」


そう言った途端、“陰”は寒夜に向かって突進してきた。
寒夜は刀も構えずに、それを見ている。

“陰”は爪を立て、それを寒夜に向かって振り下ろした。
……かに見えたが、寒夜は既にそこにはいない。

“陰”の背後、3mくらいのところにいた。


「……やっぱり、雑魚だったか」


寒夜がそう言った時、“陰”はうめき声を残し、消滅した。


「えっと……歪に連絡」


ポケットから携帯を取り出し、メールを送信。

短く溜め息をついて、帰ろうと振り向いた。


「……帰り道、どっちだっけ……?」


家にはまだまだ着きそうにない。