ピリリリリ…

歪が壇上を下りきった時、携帯が鳴った。
今回はメールのようだ。


「凩くん、学校に携帯は……」

「……仕事か」


教師の言葉を完全に無視し、電話をかける。


「……歪だ。仕事が入った、場所は……は?地名を言っても分からない?…真っ直ぐ……そう、そこで右折だ……そこのスーパーで三分待て……あぁ、“陰”だ」

“陰”という単語を聞き、周りがざわめく。
そこで一人の教師がおそるおそる声をかけた。


「もしかして……君は“情報屋”ですか……?」

「えぇ、そうです」


館内がより騒がしくなった。
教師たちは疑いの眼差しを歪に向けている。
仕方ない、といった表情で胸ポケットから一枚のカードを取り出す。


「“情報屋”、NO,666凩 歪だ」


そのカードはそれを持つ者が“情報屋”であることを証明するものだ。


「……ということで、携帯は持って来てもよろしいですね?」


歪は笑顔だが、何故か恐ろしい。


「…ど、どうぞ…」


歪のクラスの担任が青ざめながら言った。
周りの教師に慰められている。


「ありがとうございます」


勝ち誇った笑みを残し、歪は自分の場所へと戻った。