「人を陥れるのは、すごく気持ちいいと思わないか?」
歪の表情は本当に楽しそうだ。
背後に黒いものが見えたのは気のせいだろう。
「分かりきってたつもりだけど……お前、本当に性格悪いな……」
「それは誉め言葉として受け取っておく」
「………誉めてねぇ」
そうこうしていると校門前まで来ていた。
「クラスはどっこかな〜!」
もうテンションを取り戻したらしく、人だかりの向こうにある名簿をみようとする直。
「……同じクラスだ、1組」
「よく見えたな、あの名簿を……?まあいいや、じゃあ行こうぜ!」
「あぁ」
これからは体育館で入学式だ。
校長の長い話を真面目に聞く生徒は学校内の三分の一もいないだろう。
それは歪や直だって例外じゃない。
歪に関してはパソコンまで持っていっている。
(どうせ大した話もしない。教師の弱みでも掴んでおくか)
「ん?歪、なんか言った?」
「いや、別に」