「……何の用だ、ニート」
『ニートじゃない』
「仕事がない時は引きこもりだろうが」
『……』
向こう側の声――寒夜は黙った。
反論する言葉を探しているのだろう。
『…それより、今日の仕事は?』
青年――凩 歪(コガラシ ヒズム)は今度は深く、溜め息をついた。
「“陰”は日が出ているうちにはあまり出てこれない、と言ったのはお前だろう。」
『……あ』
「はぁ……」
凩 歪、本日三度目の溜め息をついた。
「とにかく、僕はニートと違って忙しいんだ。仕事が入ったら連絡する、じゃあな」
『俺はニートじゃな』ピッ。
向こうから何か聞こえたが気にしない。
歪はトーストを食べ終え、家を出た。