「殺られたとすれば……誰あたりだ?」

「うーん……あ、そういえば、『風の神』に憑かれているのが爺さんだって聞いた」

「……お亡くなりになられたか」


寒夜が合掌した。


「酷いですね、『風の神』はまだ死んではいません」


後ろで声が聞こえた。


「だって、私ですもの」


寒夜と歪が振り向くとそこには和服を身に付け、扇子を持った、長髪の女がいた。


「ご機嫌よう、『空の心』さん」


闇に溶けそうな黒髪をなびかせて、女――黄泉風 雨美が立っていた。