第二章 『風の神』




「ウォォオォォ!」


“陰”が叫びながら迫ってくる。
それを冷めた目で見ながら、寒夜は刀を振るった。

そして“陰”は消えていった。


「……ふぅ」


寒夜が短く息をつき、その背後から歪が出てくる。


「最近、数が多いな……」
「…誰か殺られたのかも」

「……“聖霊”か」



“聖霊”。

この地球を守っているもので、昔はたくさんの“聖霊”がいた。

だが、“陰”は“聖霊”が大好物だ。
“聖霊”は普段、霊体であるため、“陰”から逃れる術を持たず、現在は昔に比べて数が減ってしまった。

これ以上の“聖霊”を失うことを防ぐために、“聖霊”たちは一つの提案をした。
それが人間に憑くこと。
“聖霊”は人間に憑いて自分を守ってもらう。
そのかわりに、人間に超人的な力を与える。

その“聖霊”に憑かれた人間、それが“殺し屋”だ。