夏休み。

君と行くと約束した夏祭りの日。

待ち合わせ場所に向かう途中、母親と暮らしたあの家の隣に住んでいたおばさんに出会った。

突然呼び止められ、当惑する俺に対しておばさんは母親には会えたのかと聞いた。


『母のことは何も知りません』


そう言って逃げるようにもと来た道を引き返した。

自宅に戻ると自室に引きこもった。


思い出したくない。

母さん、俺を捨てたならもう俺の心を乱さないでくれ。

そう思った。