「俺、あいつの幼なじみでさ、ずっとあいつのこと傍で見てた。

あいつのこと好きだったから。

あいつに彼氏ができたって言われた時、悔しかった。

でも、あいつが幸せならそれでいいとも思った」


奴は下を向いて話す。

先程と違い、弱々しげな声だった。


「付き合いはじめた頃は、あいつすげー幸せそうだったよ。

だけど、だんだんあいつから笑顔が消えていって、見ていられなかった。

教室で一人で泣いてるあいつを見て、気づいたら抱きしめてた。

あいつ強がりだから理由聞いても答えないで、たったひと言だけつぶやいたんだ。

“祐一は私のこと好きじゃないのかな”って……」