次の日、朝起きた武志は昨日買ってきた木製の雪だるまに腕が付いているのを見て、現実だったんだな…と何とも言えない暖かさを感じた。
いつもの様に布団から出て、いつもの様にシャワーに入り、いつもの様に身支度をして、いつもの様に出勤する前に、冷凍庫から氷を二つ取り出した。
外に出て、駐車場の一角を見ると、少しだけ表面の溶け掛けた弥生が居た。
「はい、クリスマスプレゼント」
そう言って氷を左右に一つずつくっつけた。頭をツンツンと小突いて愛車に乗り、職場へ向かう。
ふと思い出す。
『あの絵本のタイトル、『雪だるまと約束』だったな…』
そして最後のページに描かれていた再会のイラストを思い出しながら、ほんわかとした笑顔で車のアクセルを踏んだ。